心理学連邦

社会心理学/認知的整合性理論とラベリング理論

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自国を愛する心情。
多くは国家に対する忠誠や国旗の掲揚、国家の斉唱に象徴されるがナショナリズムとは区別される。
しかし、ナショナリズムと同一視される場合も多く、郷土愛や単に国家とは関係なく自国の文化を愛する立場をも含むために意味が一定ではない。

愛国心は自然発生的か教育により作られるのかについては議論が絶えない。

広く一般に流布される情報が与える影響の事で特に経済や選挙における効果をいう。
選挙においては世論調査の発表により優勢と思われる政党や候補者に票が集まるバンドワゴン効果、
不利と思われる政党や候補者に票が集まるアンダードッグ効果がある。

経済においてはある企業の経営状態が良いか悪いかの報道によりその企業の株価は上下する。
政府の経済政策の発表により消費が促進されるか抑制される。

権威ある人物や組織が与える暗示。
社会的地位が高く尊敬されている人物の言動は信用されやすく与える影響が大きい。
実験者効果 偽薬効果

エイジズム(ageism)

高齢を理由に行われる差別や偏見。
老人は頑固で創造性に乏しいという否定的な決め付け、職業上の差別などがある。
エイジズムの考え方は1960年代後半の米国で起こった。
長寿高齢化社会を迎える以前では高齢者は少数派であったが日本やヨーロッパでは高齢者の人口に対する割合が増えてきている。

帰属理論

ある行為や結果の原因がどこにあると考えやすいか、その傾向に関する理論の事、ロッターの研究による。
原因を自分に見出す内的統御型、原因を他者や環境に見出す外的統御型がある。

成功の原因を自分に、失敗の原因を他者にあると考える場合は利己的帰属という。

カクテルパーティ効果

カクテルパーティのように多くの人間の話し声が聞こえる場面でも自分が興味のある言葉は明瞭に
聞き取れる事、言葉だけでなくそれ以外の音、音楽に於いても同様の現象がある。
→選択的注意

鏡映的自己

アメリカの心理学者クーリーによる語で、他人の反応から推測した自己像。
これは自分の推測に基づく自己像で必ずしも実際の印象と同じだという訳ではない。

社会心理学者バーコウィッツの提唱によるもので、怒りなど攻撃を引き起こす動機を持っている者の近くに
武器が存在する場合に攻撃行動が助長されるとする理論の事。

アダムスの研究によるもので、人は自分が支払った代償と同等の報酬を欲するという考えに基づく理論の事。
アダムスによれば、自分に対する報酬が不十分であったり、他者の報酬が過大である場合には、それを解消するために動機付けられるとしている。

意見や感情などの様々な情報をヒトや動物が相手に伝えたり、伝えられたりする事。
コミュニケーションの手段はヒトにおいては、新聞などを通じて伝達される文字や話し言葉などの言語的コミュニケーションとボディ・ランゲージなどの非言語的コミュニケーションに大別される。

一般的には何かを伝える意図がある者がそれを伝える側の意図した通りに受け取る場合にコミュニケーションが成立したとされる。
非言語的コミュニケーションでは代表的なものとして身振り、手振りを使うボディ・ランゲージや、表情、匂いが挙げられる。
広義には相手との距離(対人距離)、熱い、寒い、狭い、広いなどの環境がコミュニケーションをする際に与える影響も含む。

言語的コミュニケーションであっても字義通りの意味以外の意味を声の抑揚や隠喩によって伝える事ができるため言語的コミュニケーションが非言語的コミュニケーションよりも直接的だとは一概にはいえない。

以下にボディ・ランゲージの例を示す。

眉を上げる(敵意は無い)。

片手で人差し指と親指を合わせる(アラブ人が敵意の無い事を示す時に使う、日本では金銭の意味)。

腕を組む(熟慮、警戒心)。

足を小刻みに動かす(焦燥感、退屈)。


かくれた次元
エドワード・ホール 日高 敏隆 佐藤 信行


       5点/5点中

「かくれた次元」のレビュー

本書は距離や位置関係などの空間が与える心理的な影響や知覚を扱っており、広義の非言語的コミュニケーションの研究という事ができる。

空間と自然淘汰

シカやカニ、ネズミなどの動物においてなわばり行動が捕食者から身を守る手段となり、守れない弱い個体は淘汰される、また同種の動物においてもなわばりがありそれを超えて個体が増えすぎるとストレスのために死んだり共食いが起きる。

これらの例から分かる事は空間は個体が増えすぎて自らが不利にならないための調整弁となり、更には食物と同様に限られた資源として奪い合いが繰り広げられているという事である。

空間の知覚と文化の影響

このような現象はシカやカニとやりかたが違うが人間にもみられる、そこで重要な要素となっているのは文化である。
異なる文化では空間の知覚の仕方が違う、アメリカ人よりもアラブ人のほうが人と人の距離が近く、込み合いに寛容である。

ホールは空間に対する知覚を文化的な影響と生物学的な見方で研究している、暑さの影響により込み合いの度合いが増して感じられるとか日本庭園の空間の使い方の巧みさなどが紹介されている。
示される事例が非常に分かりやすく、文化的な影響を論じるところは各国の文化論としてみる事もできるから読んでいて飽きない。

空間が人間に影響を与えない場面というのは殆ど有り得ない、規模の小さなものでは会話をする時の距離、椅子や机の配置、大きなものでは車道と歩道、樹木の位置、建築物などの都市計画にまで及ぶ。

対人距離とストレス

特に興味深いのは人と人の距離が近すぎるために受けるストレスの影響である。
本書で示される統合失調者が対人関係のストレスを表現する時に文字通り自分の体に侵入されたような感じだというように、対人関係に強い不安を感じる場合は空間の知覚の障害が生じていると考える事もできる。
非言語的コミュニケーションに空間の知覚という視点を示したホールの功績は大きいという事ができる。

自己開示

心理学者ジュラードの用語で、自分のありのままの考えや気持ちを相手に伝える事。
明るく社交的な人間であっても本音を語らない者は自己開示していないと考えられる。

社会学者マートンによる用語で現実には存在しない状況を予言、予期する事で存在しないはずの状況が、作り出される事。

例として、健全な経営状態にある銀行に支払い不能の噂が立つと、預金者が一斉に預金を引き出す、その結果、支払い不能は現実のものとなる。

上記以外にも不景気であるという予期が消費を鈍らせ、不景気を助長するなど様々な例がある。

ある作業を行う時に他者に見られたり、他者と一緒に行う事で作業の効率が良くなる事。
簡単で本能的な作業の場合はこのような傾向が顕著であるが、難しく知的な作業の場合は緊張等により作業効率は悪くなる。

集団で行われる作業に於いて手抜きが発生する現象の事。
リンゲルマンが行った実験で集団がロープを引っ張る時に手抜きが起き易い事を発見した事に基づく。

ユングの提唱によるもので、ある民族や人類に共通の祖先より受け継がれた無意識の事。
コンプレックス等の個人的無意識よりも更に深い層にある無意識で、神話や夢の内容に集合的無意識が反映される事がある。

心理学者ジャニスの研究による集団合議の際に見られる思考の傾向の事。
ジャニスによれば合議を行う集団の凝集性が高い場合に非合理的な決定が下されやすいとしている。
集団思考の特徴として敵対する集団に対する蔑視、楽観主義、 集団に同調する事が求められるため自由な議論が抑制される等がある。

集団思考を助長する要素として集団に対する外部からの圧力、独善的なリーダーの存在が指摘されている。
集団思考の例としては米国のキューバ侵攻、米国のベトナム戦争における一連の政策等が挙げられる事が多い。

レヴィンの用語で集団に於ける人間の行動を研究する事、或いはそのような学問。

登校拒否、怠学、反抗的、どもりなど情緒面に問題が生じていて、一般の学校に適応出来ないとされる児童の事。
この用語は児童福祉施設などで教育や、治療を施す対象者の事を指して用いられた。

自分についての様々な事柄に、自分や他人が知っているか知らないかを表す図やそれに基づく対人関係における概念の事。


自分が知っている        自分が知らない


 開放  盲点
 隠蔽  未知

他人が知っている




他人が知らない

人間が他者と一緒にいたいとか親密になりたいという動機の事。
特に恐怖や不安を感じている時にこのような傾向が強まる。

自分が所属する集団に感じる魅力やそれにより個々人を集団に留まらせる傾向の事。

ブレームによる用語で自由が脅かされたと感じた時に脅威に抵抗し、自由を回復する欲求の事。
リアクタンスが喚起されると勧められた選択肢を選ばず、禁止された選択肢を選ぶ傾向がある。

女性の積極性や統率力などの能力が女性らしくないという理由で非難されやすい事が原因で女性が持つ成功に対する恐れ。
アメリカ人女性の心理学者ホーナーの提唱による。

 
       3点/5点中

「怒りのダンスー人間関係のパターンを変えるには」ハリエット・ゴールダー レーナー著のレビュー

社会的に抑圧されてきた女性が持つ怒りに人間関係を改善する鍵があると考える著者は、特に家族内における女性の怒りに焦点を当てている。
夫に対する怒り、娘から母親に対する怒り、母親から子に対する怒りなどを心理療法家としての体験をもとに紹介している。

著者は母と娘が育児の方法について激しい怒りを伴って議論しているとき、母と娘は母親の子離れに対する不安、娘の自立に対する不安に目を向けないようにしているのだと指摘する。
人間関係を困難にする激しい怒りの表現や無理に怒りを抑えるのではなく怒りをガイドとして人間関係を改善する方法を分かりやすく解説している。

責任や落ち度が無いか或いは、無いに等しいものに対して非難の矛先を向ける事。
単に身代わり、八つ当たりされる個人にスケープゴートという言葉を使う事もあるが、ナチスによるユダヤ人迫害のように少数派の集団を標的にする場合を言う事が多い。

二頭の山羊を使い、一頭は神の生贄として屠り、もう一頭は厄払いのために荒野に放つユダヤ教の儀式が語源とされている。

世代間連鎖

親から子へ考え方や習慣が伝わる事。
特に児童虐待を指す場合が多い。

@異なる二つの信念や思想を持つ事。
二重見当識とは違い非現実的な妄想は含まない。

A意識混濁の状態。

人間が自分の考えに矛盾が生じないように情報を都合のいいように解釈する傾向をいう。
→合理化

集団において人間の行動が攻撃的、衝動的、非合理的になる現象の事。

何らかの政治的意図を持って宣伝活動をする事をプロパガンダという。
一般的には戦時下において、自国に或いは政権政党にとって有利な情報を流布する事を指し、多くは自国民を対象としている。

典型的なプロパガンダの方法としてレッテル貼り、美化、虚偽の情報を流すなどがある。

プラトカニスとアロンソンの著書「プロパガンダ」では脱工業化社会を特徴付ける説得の技法と定義し、より広い範囲をさす言葉として使われている。

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く
アンソニー プラトカニス エリオット アロンソン Anthony R. Pratkanis
4414302854


       5点/5点中

「プロパガンダ」のレビュー

いわゆる政府が行うプロパガンダとそれ以外の他人を説得する技法が紹介されている。
チャルディーニの「影響力の武器」と内容がよく似ていて、や頼みごとをする時に理由を告げると承諾されやすくなるなど引き合いに出される話も同じものが多い。

「影響力の武器」が著者の実体験を交えて述べられているのに対して「プロパガンダ」ではレーガン大統領の演説の技法や消費者に影響を与える広告など政治の話題が多くメディア論的な色彩が強い。

他人を説得(騙す)する方法が紹介されていて面白い本だが「影響力の武器」と似ているのでどちらか一方を読めば十分だろう。
尚、タイトルはプロパガンダだが特別に戦時下のプロパガンダを紹介しているわけではないのでそれを期待して読むと裏切られる。

ポライトネス理論は会話を行う両者の体裁を傷つけることなく円滑な人間関係を作るために使われる言葉遣いを扱う。
何かを依頼する場合は依頼する内容やその難易度によって言葉遣いは丁寧なものとなり、親密な間柄ではそのような傾向は少なくなる。

ラタネとダーレーによる用語で他者に対する援助等、本来は実行可能で実行される事が求められる行為がその行為が実行可能な当事者が多くいるにもかかわらず抑制される事。
傍観者効果の原因として、責任の分散、多数の無知(援助等が行われない事から緊急性を過小評価する)、評価懸念(援助等に対する否定的な評価を懸念する)が挙げられる。

ショーペンハウアーの寓話に基づく言葉。

寒い冬の日に二匹のヤマアラシがお互い暖めようとして近づいたが、自分のからだについているトゲが邪魔して暖めあう事が出来ず、二匹のヤマアラシは離れたが今度は寒くなってしまった。
試行錯誤を繰り返すうちに寒くならずトゲがお互いを傷つけない適当な距離を見付けた。

この言葉はもともとフロイトが人間関係の難しさを説明するためにショーペンハウアーの寓話を引用したものである。
この言葉は親しい関係であるほどお互いの適当な距離は見つけにくいという狭い範囲と、近代化により人間関係が希薄になり他者との適当な距離を見つける能力が獲得されにくいとか、国と国、民族と民族の関係の難しさなど広い範囲を指す事がある。

日本ではひきこもりの状態にある者の心理についてこの言葉が用いられる事がある。

(関連書籍)

ある事柄に名称を与え、他との類似性や違いを明らかにする事。

ハワード・S・ベッカーによる用語で、逸脱者というものがはじめから存在するのではなく、逸脱者とされるには、多数の人間から逸脱者のレッテルを貼られる事が必要であるとする理論。
ベッカーによれば逸脱者のレッテルを貼られる事が、我々にある者を逸脱者と認識させ、更には逸脱的行為を助長するとしている。

ベッカーの逸脱に関する研究は逸脱者のレッテルを貼られた人の心理や行動様式の分析だけでなく、ラベリングを行う不特定多数の人々や逸脱者を研究対象とする社会学者にまで及んでいる。


アウトサイダーズ―ラベリング理論とはなにか
ハワード・S. ベッカー Howard S. Becker 村上 直之

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「アウトサイダーズ―ラベリング理論とはなにか」のレビュー


本書でベッカーは逸脱の定義が曖昧である事を様々な事例を根拠にして説明している。

定義があいまいな逸脱行為

酒の席で酔って他人に迷惑をかけてもそれほど白眼視されない、一方で同性愛や離婚は特に他人に迷惑のかかる行為でないのに逸脱や病的な事とされる。

統計学的に見て平均からかけ離れているという事を定義とする場合は殆どの人が右利きであるから左利きの人は逸脱者という事になってしまう。

逸脱者とされた者に対する態度や対処の仕方の曖昧さや誤謬については以下のように指摘している。

同じ行為であってもそれを行う者がだれであるかによって他人の反応(批判、処罰など)が違う。
これは白人よりも黒人の犯罪者のほうが厳罰に処される事が多いという事実によって示される。
逸脱行為を行った者は意図的にあるいは何かに動機付けられてそのような行為を行ったと思い込む。

自作自演のラベリング

更にベッカーは逸脱を企画の産物であると断言している、これは逸脱を取り締まる人たちが逸脱行為が不利益や不道徳である事を喧伝しながらも自分たちの取り締まりがうまく行われている事を示さねばならないというジレンマによく表れている。

ラベリング理論は逸脱を助長するメカニズムとして知られているが、ベッカーは規則や規範に違反している行為でも全ての行為を我々が逸脱と認識するわけではなく、これを逸脱のレッテルを貼られない規則違反行為として区別すべきとしている。

これらの事からラベリング理論は我々の逸脱に対する認知のメカニズムを扱っているという事もできるだろう、従ってラベリングが必ずしも逸脱を助長するわけではないという事実が示されても本書の意義は失われないのである。
逸脱を定義してそれを取り締まったり研究する事を職業としている人たちは決して少なくない。
警察、宗教家、社会学者、ジャーナリスト、政治家など枚挙に暇が無い。

社会学の研究法の問題点を知る上でも重要な著作であるが、差別や偏見が起きるメカニズムを知るためにも役立つ。

個人の場合よりも集団で下される決定の方がより危険で野心的な傾向を持ちやすい事。
リスキー・シフトは集団により責任の所在が不明確になる事が原因とされている。

ストーナーの研究によるものだが、必ずしも危険な選択肢を選ぶ訳では無く、
コーシャス・シフトという逆により慎重で保守的な決定が下される事が見出された。
どちらの場合もはじめから持っている個人の考えが集団討議を経て極端になる事から集団極性化という。

ある人物や団体に対してどのような態度をとるかを調べる方法。
街中に異なる宛先が書かれた封書を置く、それを拾った人が投函するかどうかで、宛先に書かれた、人や団体に対する態度を調べる。

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