心理学連邦

知覚心理学/感覚遮断の実験やノーマンの「誰のためのデザイン?」の紹介

米国の知覚心理学者ギブソンによる用語で、物や環境の性質と行為者の能力との関係によりある行為を可能ならしめることをいう。
例えば空気を吸ったり吐いたりする事は出来ても空気を投げ飛ばしたり空気に絵を描く事はできない、このような時に空気は吸ったり吐いたりする事をアフォードしたという。
ギブソンのいうアフォーダンスはある行為ができる条件や状態、行為される側とする側の関係性の事であって、ある行為を誘発させるという意味ではない。

これに対してノーマンのいうアフォーダンスは複数の可能な行為の中から特定の行為を誘発したり、ある行為が実行可能であるような外見の事であって、水が入っているコップのストローは吐く事よりも吸う事をアフォードするというような例えができる。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論
ドナルド・A. ノーマン 野島 久雄 D.A. ノーマン
478850362X
        4/5点中


「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」のレビュー
タイトルには認知科学とあるが、使いにくいデザインの道具を様々な視点から考えるという内容なのでそれほど難しくない。
使いやすいデザインであるためには、目で見て直感的に使いかたがわかるものであるとか、文化的な背景、ボタンを押せばすぐに何らかの反応(フィードバック)がある事などが指摘されている。

この本で使われている用語はあまり厳密な定義をせずに用いられているので注意が必要だ。
使いにくいデザインのためにある道具を使う事を断念させられる事をセリグマンの学習性無力感 で説明していたり、アフォーダンスをある行為を誘発させるとかそれが実行可能であるような外見という意味で使っている。

この本を読むとなぜ使いにくいデザインが淘汰されないのかがよくわかる。
デザイナーは見た目を重視しすぎたり、道具の開発段階でその道具に熟知してしまうためその道具が使いにくいという事に気が付かないし、消費者の側も道具を買って使ってみなければ使いやすいかどうかは分からない。
ハンマーや釘などの単純な構造のものはともかく、パソコンのソフトウェアやDVDレコーダーなどは外見を見ただけでは使いやすさについてはわからない。

まとめ

この本を読んで認知科学や知覚心理学の殆どを知るというわけにはいかないが、入門書としては良いと思う。



知覚はおわらない―アフォーダンスへの招待
by 佐々木 正人
青土社 (2000/10)

単行本
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オススメ度の平均:
rating:3 アフォーダンスの世界観
rating:4 アフォーダンスの拡張

              3/5点中


「知覚はおわらない―アフォーダンスへの招待」のレビュー
スポーツにおけるアフォーダンスとは何か野球選手はどのようにして最適なスウィングやピッチングフォームを獲得するのかというような人間の知覚と環境の関係を考察している。
タイトルにはアフォーダンスへの招待とあるが、幼児がある食べ物を好んで食べるようになるとか徐々に箸の使い方を覚えていくという例からギブソンのいうアフォーダンスだけでなくノーマンのいうアフォーダンスと知覚全般、更には学習に関するトピックが含まれている。

一部ギブソンの言葉も引用されているが心理学の本というよりも人間の知覚の不思議さについて著者と著名人の対話によって紹介するという内容になっている。
マラソンのアベベ選手はなぜ裸足で走ったのか、ピッチャーが投げる球のキレとは何かなど扱っている話題は興味深い。

ゴーグルを使い被験者の視界を奪い、耳も塞ぎ、手には筒をつけさせてベッドに寝かせる実験の事。
被験者は外部からの刺激を殆ど遮断されていたが、食事は与えられ室温も快適に保たれていた。

実験を長く続けた分だけ報酬が貰えたが、感覚遮断のストレスは著しく被験者はイライラしたり
目と耳が遮断されているにもかかわらず幾何学模様を見たり、音を聞いたりする等一時的な幻覚
が生じた。
これらの事から人間は刺激が不足すると自ら刺激を求めると考えられるこれを感性動機という。

両眼で物を見る時、左右の眼はそれぞれ別の角度から物を見ているにもかかわらず、一つの眼で物を見ているように知覚される事。

キュクロプスはギリシャ神話で、額の中央に一つの眼を持つ巨人。

共感覚

五感が刺激された時に刺激された器官とは別の器官に感覚が生じる事。
特に特定の数字を見た時にそれに対応するある色が見える事を指す。
条件反射や経験に基づく連想とは区別されるが、共感覚が単なる条件反射や連想ではないと証明するのは難しく、不明な点が多い。

ある刺激によって生起された生理的現象の原因が直接は関係のない事に起因すると誤認する事。
例として、もともと心臓の病気を持つ者が狭いエレベーターで発作を経験した時、
発作に対する不安は狭い場所に誤帰属させられる。

鏡に映したように左右が反転した文字を書く事。
幼児期においては鏡文字を書く事は珍しくない。

皮膚や筋肉などの末梢神経に与えられる刺激量に応じてそれと同量の感覚を生ずるとする考え方。

恒常仮定は要素主義、構成主義の考え方であって、
要素よりも全体を重視するゲシュタルト心理学の分野からは誤りであるとされる。

恒常現象(知覚の恒常性)

大きさ、かたち、速度、音、明るさや色を知覚する際、知覚する者と知覚される対象間の状況が変化してもある程度までは知覚される内容が一定に保たれる現象の事。

遠く離れた場所から人間を見ると小さく見えるが、人間自体が小さくなったとは知覚されない。

天頂にある月よりも地平線上にある月のほうが大きく見える錯視の一種。
月の錯視が起きる原因は地平線上の物体との比較説などがあるが、決定的な説はまだ無い。

太陽についても同様の現象がある。

二重コード説

言語と視覚的なイメージによって知識、記憶が構成されているとする考えのこと。
”りんご”に関する知識はりんごという名称とりんごの視覚イメージによって作られているとする類。

恐怖や不安などの感情を伴わず、壁のしみなどが顔や虫などに見えること。
このような錯覚を見る者はそれが錯覚であると認識していているが、それを注視しても容易に消え去ることが無い。

パレイドリアの原因は発熱や脳の障害などの器質的な異常によるものと、元々自分が知っている何かに見立ててある対象を見る事に大別出来る。
例として火星の人面岩、心霊写真、ロールシャッハテストが上げられる。

見るという行為によってある対象を探索する時に特別の注意を払わなくても、即座に対象を知覚する事をポップアウトという。

ポップアウトは探索する対象と対象に近接する単一の視覚的な情報との対比によって生じる。
多くの青いボールに混ざった赤いボールや多くの円に混ざった四角形を探索する時にポップアウトが生じる。

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